不器用なシタゴコロ
「…呆れたんじゃないの…?」
「呆れる理由なんてどこにもないでしょ?」
とーやクンは“チラリ”と私の顔を見た後。
また窓の外に視線をやった。
その時。
何度か聞いた音楽が車の中で聞こえはじめた。
「…ちょっとゴメンね」
その音楽は。
とーやクンのケータイから発しているものだった。
とーやクンはポケットから取り出したケータイを開くと。
若干、眉間にシワを寄せた。
「…はい。
…あ、うん…え?これから?
…あー…それはわかってるって。
…わかったよ、はいはい。
…あーっ!!ゴメンナサイッ!!ありがとうゴザイマシタ!!
…了解…これから向かいますー…」
とーやクンはケータイを“パタン”と閉じると。
“…ハァァァァァ”と深いため息を吐いた。