不器用なシタゴコロ
vol.04
「お疲れさまでしたぁ」
とーやクンに会った日から1週間。
シトシトと雨の降る梅雨も明け。
夏本番、太陽の季節がやってきた。
…私があの日感じた“ドキドキ”は。
もう遠いものになっていた。
…今日は早番。
明日は公休で明後日遅番という。
予定はないけど若干テンションの上がる休みの前の日。
残業も終わって帰ろうとした時。
…それは起こった。
「ゆーずチャン」
「お疲れー、どしたの?」
更衣室には、早番でとっくにあがったはずの沙保。
沙保はニッコリ笑って言葉を発した。
「柚のこと待ってたんだよん」
「え?」
…待ってたんだよん、って…。
なにこのわざとらしい笑顔。
ゾクリ、と背中に悪寒が走る。
これはなにかあるんじゃ…。
いや、なにかある。
なにか企んでいる。
私が怪しんでることなんて知るはずもない沙保は。
笑顔のまま言葉を続けた。