不器用なシタゴコロ

「沙保ちゃん」

「遅くなっちゃってすいません」

「こっちこそいきなり誘って悪かったね」

「とんでもない!!むしろ嬉しかったです」





ジャケット姿のこの人が。

沙保と約束をした本人だってすぐにわかる。





細身の体に着くずしたジャケットもだらしなく見えなくて。

むしろオシャレに見える。

柔らかい雰囲気に話し方。

…これは沙保の好きなタイプだわ…。





無理矢理連れてこられたけど。

その理由に納得してしまうくらい。

彼は沙保の王子様像に当てはまっていた。





この人が白いタイツ履いて白馬に乗って沙保を迎えにくるのかな…。




…………ッ!!





頭の中にその図が出てきて。

思わず笑いだしそうになってしまった。





「とりあえず飲みながら自己紹介といきましょう」





気付くと。

彼の後ろにいた2人は。

グラスを持って立ち上がっていた。


 

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