不器用なシタゴコロ

感動の再会。

…なんて。

そんな色気のあるものじゃない。





レストスペースを出た私は。

通路の壁に寄り掛かってるとーやクンを見つけるなり。





「事情は後で。とりあえずここ…出よ?」





今、沙保たちに見つかるのはマズい。

早くこの場から離れなきゃ。





「ちょっ?!ゆずサンッ?!」





有無を言わさず。

お店の外へととーやクンを引っ張ってきた。





…とはいうものの。

どこに向かえばいいのかわからない。

…右?左?

私、車を職場の駐車場に置いたままなんだよね。

どうしよ、取りに行っちゃっていいのかな…。





「ね、とーやク…」

「ゆずサン、案外積極的…」





とーやクンと声が被る。





その声に…いや。

その言葉に隣にいるとーやクンの顔を見上げると。

右手で口元を隠したまま左手を持ち上げた。



 

< 76 / 340 >

この作品をシェア

pagetop