不器用なシタゴコロ
感動の再会。
…なんて。
そんな色気のあるものじゃない。
レストスペースを出た私は。
通路の壁に寄り掛かってるとーやクンを見つけるなり。
「事情は後で。とりあえずここ…出よ?」
今、沙保たちに見つかるのはマズい。
早くこの場から離れなきゃ。
「ちょっ?!ゆずサンッ?!」
有無を言わさず。
お店の外へととーやクンを引っ張ってきた。
…とはいうものの。
どこに向かえばいいのかわからない。
…右?左?
私、車を職場の駐車場に置いたままなんだよね。
どうしよ、取りに行っちゃっていいのかな…。
「ね、とーやク…」
「ゆずサン、案外積極的…」
とーやクンと声が被る。
その声に…いや。
その言葉に隣にいるとーやクンの顔を見上げると。
右手で口元を隠したまま左手を持ち上げた。