不器用なシタゴコロ

「とりあえず飲みに行こっか。どこかいいとこある?」



そう言いながら顔を覗き込んでくるとーやクン。





ち…近い近い近いっ!!

無意識とはいえ。

触れてしまったドキドキからまだ解放されない私には。

この距離はかなりキツい。





「今日、車は?」

「しょ、職場の駐車場に置いたまま…」

「…じゃあ飲めないじゃん」





ちょっと不貞腐れたように。

…ガッカリしたように、とーやクンがため息を吐いた。





「や、明日休みだし明日取りに行けばいいかなぁ、なんて…」





…なんて。

なんでこんなご機嫌とりみたいな言い方してんだろ、私。





「ゆずサン明日休みなんだ?」

「うん。しかも明後日午後出勤だからかなりのんびりできるんだ」





とーやクンは「そっか」と呟いて。

下唇に触れた。



 

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