不器用なシタゴコロ
「ところでさぁ。
なんであの店にいたの?」
「へっ?!」
「あの店。仕事帰りに飲みに行くような店じゃないよね?」
先を歩きだしたとーやクンが振り返る。
…たしかに。
あのお店は仕事終わって一杯…って感じじゃない。
デートとかちょっとオトナの付き合い、みたいな。
「…ひょっとして、デートだった?」
眉間にうっすらシワを寄せて。
訝しげな顔をみせるとーやクン。
「や、まさか!!」
「どうだかねぇ?」
「ホントに違うって!!」
片眉を上げて。
怪訝そうな顔を見せるとーやクンは。
不機嫌そうにそっぽを向いた。
「と、とーやクンこそデートだったんじゃないのっ?!」
「俺は仕事だもーん」
「仕事っ?!」
「そ。し・ご・とっ」
とーやクンの仕事。
音楽関係って言ってた。
あんなところで仕事って…どんな仕事だよ…。