不器用なシタゴコロ
とーやクンって。
掴みどころがないっていうか…。
謎だらけな人だ。
会うのも2度目だし。
知らないことがたくさんあって当たり前なんだけど。
わからないことが多すぎる。
…しかも、はぐらかすのうまいしね…。
そうやって興味を持たせるのがとーやクンの作戦なのかも…。
やっぱ、チャラいのかな。
サラッとゴハンとか誘えちゃう人だし…。
そんなことを思いながら。
数歩前を歩くとーやクンの背中を見ていると。
不意にとーやクンが振り返った。
「ゆずサン」
「へっ?!」
「あの角まで競争しよ」
「はいっ?!」
「ほらいくよ…よーいどんっ!!」
えっ、なに?!
どーゆーことよっ?!
競争ってなに?!
“パチン”と手を叩く乾いた音がしたかと思ったら。
とーやクンはもう走りだしていた。
「ちょっ…とーやクン?!」
「ゆずサーン、負けたら罰ゲームだからねー」
私の問いかけにそう答えたとーやクンは。
私に背を向けまた軽く走りだした。