不器用なシタゴコロ

デ、デ、デ…。

デートッ?!





「な、なんでデートッ?!」

「負けたんだから文句言わないのー」

「ゔっ…」





そりゃまぁ、たしかに。

とーやクンの言うとおり負けましたよ?

負けましたけど…。

…でもなんで?!





私の疑問が顔に出ていたのか。

とーやクンは私の頭に“ポンポン”と手をのせた。





「今日、ゆずサン車で飲みに行けないし。俺、明日1日オフだから…つきあってよ」





…なんて。

すごく柔らかく微笑むから。

無意識に頷いてしまっていたんだ。





「…わかった」

「よし。じゃあ明日10時にこの間のコンビニで。…車で来ちゃダメだよ?」

「10時って早くない?」

「行きたいとこがあるからつきあって」





そう言って頭をクシャクシャと撫でられた。





その手がなんだか心地よくて。

でもそれが妙に恥ずかしくて。

私は俯くことしかできなかった。



 

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