不器用なシタゴコロ
…え…?
「おはよ」
そう言いながら男の人がかけているサングラスをずらすと。
見覚えのあるあの瞳が“チラリ”と覗いて見えた。
「…とーやクン?!」
私と目を合わすと。
サングラスをまたかけなおして口角を上げた。
「全然気付かないんだもんなぁ」
「ずっと見てたの?!」
「見てマシタ」
「声くらいかけてくれればいいのに!!」
「アハハハハッ」
“アハハハハッ”って軽く笑うけど…。
かなり恥ずかしくない?!
本人いる前でキョロキョロその人を探してたなんて。
「なんか買ってこうか」
「へ?」
「ちょっと走るから」
そう言って外を指差すとーやクン。
その指した方向を視線で追うと。
「…車?」
そこには駐車場に停めてある黒の1BOXがあった。