金縛り天国
来てしまった。
水族館。
何年ぶりだろう?
確か小学生くらいの時だった気がする。
「あー!
サメだッ!すごーい!
音羽ちゃん!サメだって!」
子供みたいにはしゃいで走り回る神崎。
(苦笑)
あ。
ふと目に止まった
イルカ。
悠々と可憐に水の中で自由に泳いでいる。
見るものを虜にする力があるようだ。
…あたしもイルカのように
あんなにもどこまでも自由に泳いで行きたい。
しばらくイルカから目が離せなかった。
そんなあたしに気付いたのか
「あれ?音羽ちゃんイルカ好きなの?」
声をかけて来る神崎。
「綺麗ー…」
別にイルカが好きなわけでも無ければ
このイルカが特別ってわけでも無い。
だけど何故かこの言葉が無意識に口から出てた。