僕が卒業する理由
1.
僕が卒業する理由。
3月が来たからだ。こんなにも、単純な理由をもし言ってみれば、当たり前だろうと笑われる。
3月じゃなくたって、4月だとしても、不満は募り、僕が僕自身を疑う事になるだろう。
まだまだだろう、お前は。という風に。
舞台から男女構わず嗚咽混じりに歌声を披露したあと、隣の男はさらに拍車をかけ泣いている。
この男、普段はタバコばかり吸っていて、周りの生徒に迷惑をかける人間なのだが、いつもとのギャップが僕を焦らせる。
何を泣いているの?何の為に泣いているの?お前にとってこの三年間は確実に成功した三年間だったのか?ずっと上昇傾向で、思い出いっぱい、愛情いっぱいだったのか?
いいや、違う。お前はタバコしか吸ってなかった。