俺様彼氏に要注意!
「莎夕ちゃん、天然ちゃんなのかな?」
先輩はあたしの髪を触りながら言った。
「あの、せん…ぱい?」
「莎夕ちゃん顔赤い」
くすっと笑って、あたしの髪から手を離した。
し、心臓止まるかと思った…!
「あ、先輩じゃなくて湊でいいよ」
「え?、あの無理です!」
そんな、名前で呼ぶなんて…
「なんで?」
「…恥ずかしいです」
「ぷっ、可愛いね」
わ、笑われた!!
あたしが、必死に恥ずかしさを隠してると
「湊~?どこ?」
あの化粧が濃い女の人の声が聞こえた。
「時間切れだな、じゃあまたね、莎夕ちゃん」
そう言って、先輩はあたしのほっぺたにキスをした。
「きゃっ、先輩?!」
いたずらっ子のような笑いを浮かべながら
先輩は声がする方にいってしまった。
先輩には意味なんてない。
このキスも、可愛いっていうことにも。
だから期待はしちゃいけない。
……なのに、
期待してる自分がいる。