俺様彼氏に要注意!
「あ、いた!かっこいい~」
「ぜったいに、波留先輩のがいーと思うんだけどなぁ」
世南の呟きを無視しながら、あたしは湊先輩をじっと隣の机から見ていた。
もちろん、本を読んで。
読んでるふりだけどね。
だって、本を読む余裕なんてないくらい、先輩を見ちゃうんだもん。
「ほらっ、何読んでるんですか?って話しかけたら?」
「えぇ!無理だよ!」
世南があたしを湊のほうに軽く押して言ってきた。
「いいから、あ、ほら!あの女絶対湊先輩を好きだよ!」
そういって世南が指差すほうを見ると、湊先輩にくっつきながら、話しかけてる派手な女の人がいた。
「でも~」
一度世南に視線を戻してからまた先輩を見た。
「!!」
その瞬間、あたしの頬が赤くなるのがわかった。
だって――……
先輩が、湊先輩が―……
あたしを見たんだもん。
そのまま、ずっと目を離せずにいると
先輩が立ち上がってあたしの席に近づいてきた。
「君、いつもそれ読んでるね、好きなの?」
そして、
話しかけてきた。
「えっ?あ、はい…ででもあまり進まなくて、その」
そう言うと
湊先輩はニコって笑って、あたしの隣に座ってきた。
「じゃあ最後まで読んでみるといいよ、面白いから」
「あ、はい!読みます!ぜったい!」
「じゃあ、読み終わったら声かけて、話そうよその本について」
先輩は思いもしないことを言ってくれた。
そう言って先輩は、図書館をでた。
湊先輩にくっつきながら話しかけてる派手な女の人は
あたしを睨みつつ、湊先輩を追いかけていった。
「良かったじゃん!湊先輩ももしかしたら、莎夕が見てること知ってたんじゃない?」
「嬉しい!知ってたのかなぁ、あたし、変な顔してなかったかなぁ!」
あたしは、いつもなら、睨まれたりしたら気になるのに、
今日は、そんな事忘れてた。
それぐらい嬉しかった。