恋する距離
「ホントみのりって、食堂のメロンパン好きよね……飽きないの?」




お昼休み、教室から猛ダッシュして私は食堂のパンコーナーに並ぶ。




今日も気合いでゲットした戦利品を握りしめ、後から到着した呆れ顔の友達にピースを送った。




「だって好きなんだもん、メロンパン♪」


「それにしたって、毎日よくやるよ……」




私もホント、そう思う。
だって私の本当のお目当ては、メロンパンじゃないんだもん。




そう、食堂で毎日カレーライスを美味しそうに食べる彼を見ることが、私の本当の目的。




「和樹って、毎日カレー食ってて飽きねぇの?」


「好きなんだからいいだろ!」




ばれない様に彼を盗み見れば、聞こえてきた彼と友達の会話。




私と同じ様な彼の答えに、思わず頬が緩んだ。




「みのり、ニヤニヤして気持ち悪い……」


「そ、それだけメロンパンが好きなのよっ! 早く教室戻って食べよ」




しっかり友人に見られていた私のにやけ顔は、みるみる真っ赤に染まってしまった。


今の会話、聞こえてなかったかな?


心配になって彼を見れば、私と同じ様に顔を染める彼がいた。




あれ? 彼も友達にカレーを指摘されて、恥ずかしかったのかな?


お揃いだ、とか馬鹿な事を考えてる私は、またにやけそうになるのを必死で堪えて食堂を後にした。




広い食堂で顔を赤く染める二人の距離。




推定5メートル……。



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