恋する距離
あれ以来、和樹君とは食堂仲間になった。




毎日お昼休みには食堂に行って、二人で一緒にご飯を食べてる。




周りの友人からは「付き合ってるの?」と冷やかされるけど、私は正直嬉しい 。




いつか本当に恋人同士になれたらいいのになって、淡い期待に胸がドキドキする。




私が勝手な妄想に一人でニヤニヤしていると、和樹君が角を曲がるのが見えた。




声を掛けようと、私も後を追うように角を曲がる。




「かず……!?」




そこには真剣な面持ちで知らない女の子を見つめる和樹君がいた。




私は慌てて口を塞いだ。
和樹君の顔が、涙ぐむ女の子の顔にどんどん近づいていく。




私はこれ以上見たくなくて、来た道を全速力で走った。途中、何かを落としたような気がしたけど、そんなの今は構ってられない。




だって……、絶対キスしたよ?




和樹君と女の子の顔の距離。




推定5センチ……。




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