恋する距離
「ホントごめんっ! 俺、みのりちゃんと仲良くなりたくて、ボールを拾ってもらう作成考えたんだけど……」




和樹君は私の正面に周りこみ、深々と頭を下げ手をあわす。




「緊張して、ぶつけちゃったんだ」




その顔は反省してますと書いてそうなぐらいに、申し訳なさそうだった。




「じゃあ、さっきの女の子は……?」


「多分アイツのコンタクトがズレたの見てやった時かな? あ、勘違いしないでね? あれ俺の姉貴だから!」




和樹君の説明に力が抜ける。
うっそ、どうしよう! 私物凄いはやとちりなんじゃ……。



「もしかしなくも、泣かせちゃった?」



和樹君はそっと私の頬にふれた。
その指は壊れ物を扱うように優しい。




「えっ!? あの……」


「俺……、前からみのりちゃんのこと気になってたんだ。部活の時見かける姿も、食堂でパンを買ってる所も、ずっと見てた」



夢、じゃないよね?
今、和樹君私を見てたって言った?




また涙が溢れだして、目の前のキラキラ笑顔がぼやける。


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