信仰者
序章
「信じる者は救われます。必ず、救われるのです。もう…怖くありませんよ…」
その薄暗い部屋には、パイプ椅子が一ミリのずれもなく並べられていた。
部屋の正面の壁にはホワイトボードが設置されている。
そしてそのホワイトボードの前に1人の男が立っていた。
その男は大勢の人を目の前にし、ゆったりとした口調で語りかける。
遠藤真奈美はうつろな目で男を見ていた。
「本当に…辛かった生活から、苦しい学校から逃げることが出来ますか?」
最前列に座っていた制服の女子高生が男に聞いた。
男はゆっくりと口角を上げて言った。
「もちろんです。あなたたちが今の苦しみから解放されることを保障いたします」
真奈美は、男のことを胡散臭いと思っていた。
だがいつの間にか男の話に聞き入っていた。
辛い家事から、あの夫から、逃げられるのなら……。
「信じる者は、私に着いて来なさい」
大勢の人が立ち上がった。
真奈美も立ち上がった…。
ちらりとホワイトボードに目をやる。
そこにはこうあった。
「BLOOD教」
これを信じる者は救われるのか、
それとも…?
その薄暗い部屋には、パイプ椅子が一ミリのずれもなく並べられていた。
部屋の正面の壁にはホワイトボードが設置されている。
そしてそのホワイトボードの前に1人の男が立っていた。
その男は大勢の人を目の前にし、ゆったりとした口調で語りかける。
遠藤真奈美はうつろな目で男を見ていた。
「本当に…辛かった生活から、苦しい学校から逃げることが出来ますか?」
最前列に座っていた制服の女子高生が男に聞いた。
男はゆっくりと口角を上げて言った。
「もちろんです。あなたたちが今の苦しみから解放されることを保障いたします」
真奈美は、男のことを胡散臭いと思っていた。
だがいつの間にか男の話に聞き入っていた。
辛い家事から、あの夫から、逃げられるのなら……。
「信じる者は、私に着いて来なさい」
大勢の人が立ち上がった。
真奈美も立ち上がった…。
ちらりとホワイトボードに目をやる。
そこにはこうあった。
「BLOOD教」
これを信じる者は救われるのか、
それとも…?