1970年の亡霊
病室での三山の事情聴取は、執拗だった。
担当の医師は、三山の怪我の状態を考えて、事情聴取の時間を制限した。
しかし、葛西東署の瀧本は、そんな医師の指示などお構い無しに聴取を行った。
瀧本が病室を出るのは、食事と治療、そして排泄の時だけで、朝の九時から夜、陽が沈む迄の間びっしりと行われた。
そして、この日も同じように瀧本が事情聴取にやって来た。
「ここが肝心なのですが、川合俊子の部屋で三枝捜査官が不審な人物を見付け、逮捕しようとして抵抗を受けた。そして自分の身を守る為に相手を殺してしまった……。で、三山警視に電話を掛けた……。何故、この時直ぐに我々所轄なり機捜へ連絡しなかったのです?」
「所轄には連絡しませんでしたが、元本庁の加藤刑事には連絡をし、彼から機捜へ至急連絡して貰うよう頼みました」
「でもそれは、貴女が現場に到着してからですよね。それより、何故現場を離れたのです?理由は?」
「ですから、何度もお話しましたが、危険を感じたからです。現実に私と三枝君は襲われ、結果、彼は命を落としてしまった……。この点を私の判断ミスと仰るのであれば、確かにそうかも知れません」
この件になると、三山は口を噤んでしまう。
自分が三枝を死なせてしまったという思いから……
担当の医師は、三山の怪我の状態を考えて、事情聴取の時間を制限した。
しかし、葛西東署の瀧本は、そんな医師の指示などお構い無しに聴取を行った。
瀧本が病室を出るのは、食事と治療、そして排泄の時だけで、朝の九時から夜、陽が沈む迄の間びっしりと行われた。
そして、この日も同じように瀧本が事情聴取にやって来た。
「ここが肝心なのですが、川合俊子の部屋で三枝捜査官が不審な人物を見付け、逮捕しようとして抵抗を受けた。そして自分の身を守る為に相手を殺してしまった……。で、三山警視に電話を掛けた……。何故、この時直ぐに我々所轄なり機捜へ連絡しなかったのです?」
「所轄には連絡しませんでしたが、元本庁の加藤刑事には連絡をし、彼から機捜へ至急連絡して貰うよう頼みました」
「でもそれは、貴女が現場に到着してからですよね。それより、何故現場を離れたのです?理由は?」
「ですから、何度もお話しましたが、危険を感じたからです。現実に私と三枝君は襲われ、結果、彼は命を落としてしまった……。この点を私の判断ミスと仰るのであれば、確かにそうかも知れません」
この件になると、三山は口を噤んでしまう。
自分が三枝を死なせてしまったという思いから……