1970年の亡霊
陸上自衛隊東部方面軍市谷駐屯地に一人の男が現れ、『陸友会』事務局から、新しい機関誌の見本を届けに来たと言って、小包を持って来た。
受け取った広報部の松原聡子陸士長は、
「陸友会からならば、広報部長に小包を確認して頂かなくては」
と思い、その小包を小脇に抱えて部長室へと向かった。
「OB連中が現役に寄付金を求める口実だよ」
そう言って広報部長の高橋定雄一等陸尉は、その小包の中を見もせず、机の上に放置した。
小包を届け終わった星野文也は、いつも通り迎えに現れたワゴン車にピックアップされた。
先に乗っていたSIMインターナショナルの社員が、懐に手を入れた。
それを見て星野は、前回同様この場で約束の報酬を貰えるのだろうと思った。
その社員が懐から出した手には、星野が期待していたものではなく、白いタオルがあった。それが、星野の顔面に覆い被さり、彼は暴れる間も無く意識を失ってしまった。
受け取った広報部の松原聡子陸士長は、
「陸友会からならば、広報部長に小包を確認して頂かなくては」
と思い、その小包を小脇に抱えて部長室へと向かった。
「OB連中が現役に寄付金を求める口実だよ」
そう言って広報部長の高橋定雄一等陸尉は、その小包の中を見もせず、机の上に放置した。
小包を届け終わった星野文也は、いつも通り迎えに現れたワゴン車にピックアップされた。
先に乗っていたSIMインターナショナルの社員が、懐に手を入れた。
それを見て星野は、前回同様この場で約束の報酬を貰えるのだろうと思った。
その社員が懐から出した手には、星野が期待していたものではなく、白いタオルがあった。それが、星野の顔面に覆い被さり、彼は暴れる間も無く意識を失ってしまった。