1970年の亡霊
 この日、加藤は君津署の一室で、三山から手渡されたメモリースティックの中身を署のパソコンで調べている最中だった。

「加藤さん!テレビ、テレビ!」

「どうした?」

「東京が、東京が今とんでもない事になってます!」

 テレビのある刑事部屋へ行ってみると、署員の殆どが画面に釘付けとなっていた。

「こりゃあ、間違いなくテロだ」

「まさか、例の宗教団体の残党か?」

「判らん」

 映し出されている映像は、防犯カメラが爆発寸前を捉えたものであった。

「どういう事だ?何があった?」

 加藤の問い掛けに、居合わせた一人が、

「爆弾テロだよ。警視庁に民自党本部、自衛隊に中国大使館……ほぼ同時刻に狙われた」

 と答えた。

 その言葉を加藤は現実離れした思いで聞いていた。


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