1970年の亡霊
治安出動
「その場所は警察にマークされていないだろうな」

「大丈夫です。我々の関連施設内という事で、捜査対象外になっていますから」

「集めたツール達の廃棄は、暮々も粗漏の無いように頼むぞ」

「はい」

「間も無くオペレーション5の発令が出せると思うが、肝心の幕僚幹部は腰砕けにはなっていないだろうな」

「その点は、笠間陸将が我々側の意向に沿って動いて頂いて居りますので大丈夫かと」

「Kデイには、全自衛隊が決起出来るような状況へ持って行かなければならない。その為にも、これからのオペレーションは特に慎重に事を運ぶように」

「全て予定通りに進んで居ります」

「うむ。後は、出動の発令が出次第、各部隊が電撃の如く動けるように準備を怠るな」

「既に部隊全員、出動待機に入って居ります。ご心配なく」

「漸く時が来たのだ。絶対に我々の存在と、関わりを知られないように」

「はい」

 直立不動の姿勢を取る若者へ、男は敬礼をした。

 その顔には心なしか脂が浮き、数ヶ月前迄とは別人のような面相になっていた。


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