1970年の亡霊
三山の気持ちは判らないでもない。
たった一度の失態を咎められ、自分が育て上げたサイバーパトロール課を追われた形になった。
その失態も、決して失態と呼べるものではない。刑事としての信念に基づいての行動だった。
警察という組織の中で、その信念が受け入れられなかっただけなのだ。
彼女には、自分が育て上げたサイバーパトロール課への思い入れがあった。
それだけに、元の部下が何者かに狙われ、命を落としてしまった事に、より強く思うところがあるのだろう。
「今のサイバーパトロール課は、下山課長の後を受けて、手代木さんが代行している……」
「……?」
「君も知っているだろ?」
「あの手代木さん?」
「ああ。総務部監査局との掛け持ちだがな。うちだけの単独捜査というには、やはり無理がある。だが、あの手代木さんなら、この話を持って行けば乗り気になるんじゃないか」
自分の知らない名前が出た事で、加藤は、
「誰なんだ?」
と、そっと三山に尋ねた。
「私をこの世界へ引っ張り込んだ人……」
「手代木さんからの指示なら、うちの課長もいやとは言えない」
三山は、出世欲でギラついた手代木の顔を思い浮かべた。
たった一度の失態を咎められ、自分が育て上げたサイバーパトロール課を追われた形になった。
その失態も、決して失態と呼べるものではない。刑事としての信念に基づいての行動だった。
警察という組織の中で、その信念が受け入れられなかっただけなのだ。
彼女には、自分が育て上げたサイバーパトロール課への思い入れがあった。
それだけに、元の部下が何者かに狙われ、命を落としてしまった事に、より強く思うところがあるのだろう。
「今のサイバーパトロール課は、下山課長の後を受けて、手代木さんが代行している……」
「……?」
「君も知っているだろ?」
「あの手代木さん?」
「ああ。総務部監査局との掛け持ちだがな。うちだけの単独捜査というには、やはり無理がある。だが、あの手代木さんなら、この話を持って行けば乗り気になるんじゃないか」
自分の知らない名前が出た事で、加藤は、
「誰なんだ?」
と、そっと三山に尋ねた。
「私をこの世界へ引っ張り込んだ人……」
「手代木さんからの指示なら、うちの課長もいやとは言えない」
三山は、出世欲でギラついた手代木の顔を思い浮かべた。