1970年の亡霊
野党側のある議員は、目の前で繰り広げられている答弁を冷ややかな眼差しで見つめていた。
予算委員会で問題にされているのは、北朝鮮への制裁発動と、自衛隊への臨時予算増加についての質疑応答であった。
まるで与野党が逆だな……
旧政権政党であった自由党は、元来極端にアメリカ寄りの保守政党である。現政府の民自党は、その母体が労働組合であるだけに、どちらかと言えばやや中道主義に近い。
国会の答弁は、その体質が如実に現れた。
補正予算で組まれた自衛隊関連予算の増額が、野党である自由党は、少なさ過ぎると政府に噛み付いているのである。
又、対北朝鮮制裁の強化を、本国会会議中に決議すべきとまで強硬に迫っていた。
更に野党は、退職退役した自衛官達で組織された予備自衛官の招集を、政府主導で早急に決定すべきだとまで言っている。
政府が全ての事案に慎重になり、野党側が強硬意見を展開する。
野党は政府の弱腰を何処までも追及する構えを崩さない。与党の右派には、元自由党の議員も少なくない事から、採決に際して与党内部から野党へ同調する動きも見えた。
又、マスメディアは10.1爆破テロ以降、突如として国粋主義者だらけとなった感があり、あたかもそれを民意と声高に叫ぶのが流行り病のようになった。
まるでその流れは、第二次世界大戦前の様相に酷似していた。
そんな中で、11月中旬までに予備自衛官の招集を行う法案が、賛成多数で決議されたのである。
予算委員会で問題にされているのは、北朝鮮への制裁発動と、自衛隊への臨時予算増加についての質疑応答であった。
まるで与野党が逆だな……
旧政権政党であった自由党は、元来極端にアメリカ寄りの保守政党である。現政府の民自党は、その母体が労働組合であるだけに、どちらかと言えばやや中道主義に近い。
国会の答弁は、その体質が如実に現れた。
補正予算で組まれた自衛隊関連予算の増額が、野党である自由党は、少なさ過ぎると政府に噛み付いているのである。
又、対北朝鮮制裁の強化を、本国会会議中に決議すべきとまで強硬に迫っていた。
更に野党は、退職退役した自衛官達で組織された予備自衛官の招集を、政府主導で早急に決定すべきだとまで言っている。
政府が全ての事案に慎重になり、野党側が強硬意見を展開する。
野党は政府の弱腰を何処までも追及する構えを崩さない。与党の右派には、元自由党の議員も少なくない事から、採決に際して与党内部から野党へ同調する動きも見えた。
又、マスメディアは10.1爆破テロ以降、突如として国粋主義者だらけとなった感があり、あたかもそれを民意と声高に叫ぶのが流行り病のようになった。
まるでその流れは、第二次世界大戦前の様相に酷似していた。
そんな中で、11月中旬までに予備自衛官の招集を行う法案が、賛成多数で決議されたのである。