1970年の亡霊
「撃ち方止め!」
能勢三尉の興奮した声が、無線機を通して各部下達のインカムに響いた。
「急げ!他の部隊がこっちに向かっているぞ!」
駐車場を挟んだ二つの建物から、アメリカのSWATが着るような黒い服姿の男達が出て来た。
桟橋まで一気に走った彼等は、事前に用意していたのか、船外機付きのゴムボートへ飛び乗った。
その動きには無駄が無く、相当訓練を受けた者達だというのが見て取れた。
部下全員がゴムボートへ乗り移った。
最後は能勢三尉だ。が、彼はゴムボートを桟橋から見下ろしたままだ。
部下の一人が急いでと声を掛けようとした瞬間、能勢三尉の手から小さな塊が放り込まれた。
ゴムボートに放り込まれた塊を見た部下達は、即座にそれが何であるかを悟った。と同時に海へ飛び込もうとしたが、僅かに遅かった。
鈍い爆発音とともに水柱が上がった。小さなボートに十数人もの人間が密集していた為、その威力はたった一個の手榴弾ではあったが、凄まじいものであった。
能勢三尉は止めを刺すべく、手にした軽機関銃を撃ち始めた。
海面に無数の水柱が上がり、穴が開いたゴムボートは原型を留めず寸断された。
最初のマガジンを撃ち尽すと、素早く新しいマガジンに交換し、再び海面を漂う部下達へ銃弾を浴びせた。
彼はもう一度マガジンを交換し、それも撃ち尽した。
射撃をしていた間中、呼吸をずっと止めていたのか、撃ち終わった能勢は大きく息を吐き出し、近付いて来た車のエンジン音の方へと歩き出した。
能勢三尉の興奮した声が、無線機を通して各部下達のインカムに響いた。
「急げ!他の部隊がこっちに向かっているぞ!」
駐車場を挟んだ二つの建物から、アメリカのSWATが着るような黒い服姿の男達が出て来た。
桟橋まで一気に走った彼等は、事前に用意していたのか、船外機付きのゴムボートへ飛び乗った。
その動きには無駄が無く、相当訓練を受けた者達だというのが見て取れた。
部下全員がゴムボートへ乗り移った。
最後は能勢三尉だ。が、彼はゴムボートを桟橋から見下ろしたままだ。
部下の一人が急いでと声を掛けようとした瞬間、能勢三尉の手から小さな塊が放り込まれた。
ゴムボートに放り込まれた塊を見た部下達は、即座にそれが何であるかを悟った。と同時に海へ飛び込もうとしたが、僅かに遅かった。
鈍い爆発音とともに水柱が上がった。小さなボートに十数人もの人間が密集していた為、その威力はたった一個の手榴弾ではあったが、凄まじいものであった。
能勢三尉は止めを刺すべく、手にした軽機関銃を撃ち始めた。
海面に無数の水柱が上がり、穴が開いたゴムボートは原型を留めず寸断された。
最初のマガジンを撃ち尽すと、素早く新しいマガジンに交換し、再び海面を漂う部下達へ銃弾を浴びせた。
彼はもう一度マガジンを交換し、それも撃ち尽した。
射撃をしていた間中、呼吸をずっと止めていたのか、撃ち終わった能勢は大きく息を吐き出し、近付いて来た車のエンジン音の方へと歩き出した。