1970年の亡霊
「アメリカが絡んでいたのか?」

「あ、早合点しないで。中継サーバーとしてペンタゴンが使われていたというだけだと思うから」

「そう言い切れるのか?」

「ええ。このサーバーにアクセスしているのは全て日本国内からだから。多分、情報ソース交換用の共有サーバーなんじゃないかな。警察庁だってインターポール本部に共有サーバー持っているじゃない。自衛隊、ないしは防衛省絡みだったら、考えられない事も無いでしょう」

「成る程」

「それで、やっとここから先が辿れたの」

 三山が指し示した画面に、GPS画像が映し出された。

「このサイトの発信源を一番最初から特定した座標よ。これを見れば判るけど、ある一定の期間を過ぎると場所を変えているわ。川合さんが調べ始めた頃は、ここ……」

「横須賀か?」

「その前が……」

「これは茨城……だな」

「もっと遡ると、立川でしょ、狭山に、浜松……。気付いた?」

「あ!?」

「そう、全部近くに自衛隊の駐屯地があるの。それだけじゃなくて、サイトで使われていた個体番号、今も使われているのよ」

 そう言って映し出されたGPS座標は、都内を示していた。

「今年の六月位から、ここになっている」

「足立区か……」

「そして、この個体番号のコンピューターから発信された内容を解析して行くと、彼女のメモリースティックにも残されていた怪しい求人募集や、暗号めいたメールが送受信されているのが判ったというわけ」

 ついに虎の尻尾、いや背中を見つけたぞ……

「早速ここを調べよう」

 と河津は勢い込んだ。

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