1970年の亡霊
(どうだ、少しは色男に映っているかい?)
「まあまあね」
(あんたからまあまあを頂けりゃあ御の字だ。それにしても、こんなハイテクに囲まれてまるでマトリックスだな)
「例えが古過ぎるわよ。せめて24とかにしてよ」
(俺、あんまりDVDとか観ねえから……)
「じゃあ、落ち着いたら一緒に観ます?」
(そうだな、これが終わったら……)
何処か場違いな会話をしている筈なのに、二人は不思議とそんな意識は無かった。いつものように捜査の話をしている感覚で、そんな言葉を交わしていた。
「突入はSATが?」
(ああ。俺達も行くが、チヨダが先陣だ。一応事前確認を済ませての話だがな。特に問題が無ければ、エースはお休みしていて貰うさ)
「踏み込む時は、必ずケータイを……」
(まるで学校へ行く前の子供みたいだな。大丈夫、言われた通りするよ)
「私もそっちへ行けたらな……」
(三山……)
「え?」
突然、加藤は画面にケータイを向け、写真を撮った。
(ほれ、これであんたも一緒だ。俺の胸ポケットじゃ不服だろうけどな)
「写すんなら写すって言って貰えませんか。絶対、変な顔になっているんだから」
(さて、ぼちぼち着くぞ。柏原さんに代わる……)
一瞬だけ現実世界から離れていた心が、すぐさま引き戻された……。
「まあまあね」
(あんたからまあまあを頂けりゃあ御の字だ。それにしても、こんなハイテクに囲まれてまるでマトリックスだな)
「例えが古過ぎるわよ。せめて24とかにしてよ」
(俺、あんまりDVDとか観ねえから……)
「じゃあ、落ち着いたら一緒に観ます?」
(そうだな、これが終わったら……)
何処か場違いな会話をしている筈なのに、二人は不思議とそんな意識は無かった。いつものように捜査の話をしている感覚で、そんな言葉を交わしていた。
「突入はSATが?」
(ああ。俺達も行くが、チヨダが先陣だ。一応事前確認を済ませての話だがな。特に問題が無ければ、エースはお休みしていて貰うさ)
「踏み込む時は、必ずケータイを……」
(まるで学校へ行く前の子供みたいだな。大丈夫、言われた通りするよ)
「私もそっちへ行けたらな……」
(三山……)
「え?」
突然、加藤は画面にケータイを向け、写真を撮った。
(ほれ、これであんたも一緒だ。俺の胸ポケットじゃ不服だろうけどな)
「写すんなら写すって言って貰えませんか。絶対、変な顔になっているんだから」
(さて、ぼちぼち着くぞ。柏原さんに代わる……)
一瞬だけ現実世界から離れていた心が、すぐさま引き戻された……。