1970年の亡霊
門扉をぐるぐる巻きにしてある鎖に、カッターの刃を当てると火花が散った。目が開けられない程の眩しさ。
加藤の耳には銃声など聞こえず、カッターが鎖を切断して行く音しか入らなかった。
カッターを持っていた腕が、抵抗を失いがくんと落ちた。鎖が切れたと同時に、近くに居た捜査員が門扉を蹴り開けた。
気付くと柏原が横に居た。
「加藤君、駆けるぞ!」
「はいっ!」
先を走る柏原を追うように、校舎の入り口を目指した。後ろから雪崩れ込む機動隊員。
加藤が校舎へ足を踏み入れた時だった。頭上で耳を劈く音がした。
それは爆弾でも落ちたのかと思う程の音で、単発ではなく連続で続いた。
校庭側の扉が吹き飛んだ。
「ヘリから射撃してる!」
誰かが叫んだ。射撃音が止んだ後に、ヘリのローター音が轟いた。
「柏原さん!自衛隊だ!」
「チクショー!奴ら習志野の時と同じ事をしようとしてやがる!」
怒り狂ったかのように柏原が校庭に向かって校舎を出ようとした。
「柏原さん!」
加藤の制止を振り切り、柏原は
「貴様らぁ!」
と雄叫びを上げ、銃を頭上へ向けて発射した。
柏原の銃から五発目が放たれた直後、校庭の三方向から無数の銃声が起きた。柏原の身体が衝撃で後ろへ跳ね、小銃弾で撃ち抜かれた後頭部が彼の髪の毛と一緒に加藤の足元へ飛んだ。
「撃つなぁ!止めろぉ!」
加藤の声は、その後も続いた銃声と悲鳴に掻き消された。
加藤の耳には銃声など聞こえず、カッターが鎖を切断して行く音しか入らなかった。
カッターを持っていた腕が、抵抗を失いがくんと落ちた。鎖が切れたと同時に、近くに居た捜査員が門扉を蹴り開けた。
気付くと柏原が横に居た。
「加藤君、駆けるぞ!」
「はいっ!」
先を走る柏原を追うように、校舎の入り口を目指した。後ろから雪崩れ込む機動隊員。
加藤が校舎へ足を踏み入れた時だった。頭上で耳を劈く音がした。
それは爆弾でも落ちたのかと思う程の音で、単発ではなく連続で続いた。
校庭側の扉が吹き飛んだ。
「ヘリから射撃してる!」
誰かが叫んだ。射撃音が止んだ後に、ヘリのローター音が轟いた。
「柏原さん!自衛隊だ!」
「チクショー!奴ら習志野の時と同じ事をしようとしてやがる!」
怒り狂ったかのように柏原が校庭に向かって校舎を出ようとした。
「柏原さん!」
加藤の制止を振り切り、柏原は
「貴様らぁ!」
と雄叫びを上げ、銃を頭上へ向けて発射した。
柏原の銃から五発目が放たれた直後、校庭の三方向から無数の銃声が起きた。柏原の身体が衝撃で後ろへ跳ね、小銃弾で撃ち抜かれた後頭部が彼の髪の毛と一緒に加藤の足元へ飛んだ。
「撃つなぁ!止めろぉ!」
加藤の声は、その後も続いた銃声と悲鳴に掻き消された。