1970年の亡霊
加藤のケータイを通して、逐次三山のパソコンへ現場の状況が音声で伝わっていた。
柏原の死を知ると、三山の右手はマウスを掴んだまま、固まってしまった。
しかし、ここでただ柏原の死を悼んでばかりはいられない。
これは完全に証拠隠滅の為の襲撃……
口封じに違いない……
「加藤さん!加藤さん聞こえる!?」
(……あいつら、あいつらぶっ殺してやる!)
「ねえ、落ち着いて。彼等が一味を全部始末しちゃう前に、一人でもいいから身柄を確保して!」
(判った!柏原さんの敵討ちは後回しだ!)
ケータイ越しに、加藤が何人かの捜査員に今の話をしている様子が伝わった。
断続的に銃声が聞こえる。その銃声が、三山の耳には近付いて来ている感じがした。
階段でも駆け上がっているのだろうか。加藤の息遣いが荒くなって来た。
(ひでえ……)
「見つかった?」
(今、チヨダの隊員と教室を虱潰しに見ている。チクショー、こいつも虫の息だ……)
「急いで、銃声が近付いているわ」
(今銃声の方へ向かっているんだ)
加藤の意図が判った。駆け付けた自衛隊と銃撃戦をしている場所に、一味の生存者が居ると考え、そこに向かっているらしい。
イヤフォンに「やられた!」という声が入った。
「加藤さん!?」
加藤からの応答は来なかった……。
柏原の死を知ると、三山の右手はマウスを掴んだまま、固まってしまった。
しかし、ここでただ柏原の死を悼んでばかりはいられない。
これは完全に証拠隠滅の為の襲撃……
口封じに違いない……
「加藤さん!加藤さん聞こえる!?」
(……あいつら、あいつらぶっ殺してやる!)
「ねえ、落ち着いて。彼等が一味を全部始末しちゃう前に、一人でもいいから身柄を確保して!」
(判った!柏原さんの敵討ちは後回しだ!)
ケータイ越しに、加藤が何人かの捜査員に今の話をしている様子が伝わった。
断続的に銃声が聞こえる。その銃声が、三山の耳には近付いて来ている感じがした。
階段でも駆け上がっているのだろうか。加藤の息遣いが荒くなって来た。
(ひでえ……)
「見つかった?」
(今、チヨダの隊員と教室を虱潰しに見ている。チクショー、こいつも虫の息だ……)
「急いで、銃声が近付いているわ」
(今銃声の方へ向かっているんだ)
加藤の意図が判った。駆け付けた自衛隊と銃撃戦をしている場所に、一味の生存者が居ると考え、そこに向かっているらしい。
イヤフォンに「やられた!」という声が入った。
「加藤さん!?」
加藤からの応答は来なかった……。