1970年の亡霊
三山は加藤とは別の場所へ向かっていた。彼女が向かった先は、永田町の総理官邸だ。
深夜の零時になろうとしている時間であったが、昨日午後に起きた朝鮮半島での砲撃戦を受けて、内閣は次官以上の閣僚関係者を集め、危機管理会議を開いていた。
防衛政務次官である曽根崎が、その会議に出席してる。
三山の任務は、曽根崎の任意同行。容疑は殺人の共同謀議。殉職した元サイバーパトロール課下山課長への爆殺を示唆した容疑である。
物的証拠などが無い為、垣崎剛史がメモに書いた名前から、その関連性を聴取するという名目になっていた。
三山が車の中で何度も腕時計を見た。各地点に向かった捜査員達が一斉に行動を起こす時間が刻一刻と迫っていた。
逮捕では無い為、曽根崎の場合は彼が官邸から出て来た後に、任意同行を求める事になる。
何時に会議が終わるか判らない。
マスコミに気付かれないよう、官邸からやや離れた位置で車はひっそりと停車していた。
「三山警視、閣僚らが出て来ます」
運転席の捜査員が告げた。
「曽根崎政務次官が車に乗り込んだら後を追って。恐らくこの時間だから、自宅には戻らず、議員宿舎へ向かうと思うけど、マスコミの車とかに注意して見失わないように」
「はい」
もう一度腕時計を見た。
「警視!今、各所で強制捜査が敢行されました!」
「こっちも戦闘開始よ」
遠目ながら、はっきりと曽根崎の姿を捉えた。その表情を三山からは窺えない。
その仮面を剥いでやるから、待ってなさい……
車が動き出した。
深夜の零時になろうとしている時間であったが、昨日午後に起きた朝鮮半島での砲撃戦を受けて、内閣は次官以上の閣僚関係者を集め、危機管理会議を開いていた。
防衛政務次官である曽根崎が、その会議に出席してる。
三山の任務は、曽根崎の任意同行。容疑は殺人の共同謀議。殉職した元サイバーパトロール課下山課長への爆殺を示唆した容疑である。
物的証拠などが無い為、垣崎剛史がメモに書いた名前から、その関連性を聴取するという名目になっていた。
三山が車の中で何度も腕時計を見た。各地点に向かった捜査員達が一斉に行動を起こす時間が刻一刻と迫っていた。
逮捕では無い為、曽根崎の場合は彼が官邸から出て来た後に、任意同行を求める事になる。
何時に会議が終わるか判らない。
マスコミに気付かれないよう、官邸からやや離れた位置で車はひっそりと停車していた。
「三山警視、閣僚らが出て来ます」
運転席の捜査員が告げた。
「曽根崎政務次官が車に乗り込んだら後を追って。恐らくこの時間だから、自宅には戻らず、議員宿舎へ向かうと思うけど、マスコミの車とかに注意して見失わないように」
「はい」
もう一度腕時計を見た。
「警視!今、各所で強制捜査が敢行されました!」
「こっちも戦闘開始よ」
遠目ながら、はっきりと曽根崎の姿を捉えた。その表情を三山からは窺えない。
その仮面を剥いでやるから、待ってなさい……
車が動き出した。