1970年の亡霊
 その夜、加藤は当直勤務だった為、出向先の君津署に居た。

 三山からの連絡を受けると、彼は直ぐさま本庁の機捜班を呼び出した。

「いいか、何も言わず今から言う住所へ捜査員を急行させろ。そこに訳在りのホトケが一つある。ごちゃごちゃ言わず、とにかく急行させろ。所轄には機捜扱いのヤマだ位のハッタリかましとけ!」

 加藤は三山の番号を呼び出した。

「後輩を向わせたぞ。あんたはどうすんだ?」

(取り敢えず様子見で現場を離れる)

「何かよく判らねえが、その元部下って奴を早いとこ出頭させた方がいいぜ」

(勿論そうさせるわ)

「しかし、相変わらず面倒を引き起こす警視さんだ」

(好き好んでこうなった訳じゃないわよ)

「いいよ、いいよ。こうなったらクビ覚悟で面倒見てやるから」

 加藤の笑いを含んだ冗談に、三山は幾らか救われた気分になれた。

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