1970年の亡霊
 体験入店で行った昨日の店は最悪だったと、倉田真理恵は誰にもぶつける事の出来ない怒りをパソコンのキーにぶつけていた。

 2ちゃんねるへの書き込みが、彼女にとって唯一の捌け口とも言えた。

 もうマルフー(風俗)は卒業かなぁ……

 でも、今更普通の仕事なんて、かったるくて出来ないし……

 何処かに金持ちのオヤジでも居ないかなぁ……

 2ちゃんねるの書き込みを見るともなしに眺めていると、興味を惹く文面を見付けた。

『風俗ではありません。どなたにでも出来ます。仕事は簡単、全額日払いOK!最低大五枚以上保証!』

 迷う事無く応募メールを送った。

 直ぐに返信が来た。

『即決しますから、面接に来られませんか?決めるのは話を聞いてからで構いませんよ』

 ケータイ料金の支払いが迫っていたから、倉田真理恵はラッキー!と心の中で叫んでいた。

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