海風~駆け抜けた青春~
「ってかさ、まじであたしついてないよね。毎日毎日こんなんだもん。」
「自分家にいるより寛いでるだろ。」
「わかる?あたし、慣れたのかも。」
陽に頭を叩かれる。
「海波に慣れとかないだろ。昔っから我が家のように寛いでんじゃん。」
「あたしだって、心は繊細なんです。」
「あっそ。」
陽は携帯に目を移す。
「…慣れ、か。」
「あぁー!!」
あたしが大声で叫ぶ。
「夜に…近所迷惑。」
「まだ、神様はあたしに微笑んでくれるみたい。つきが回ってきた。」
そう言って、アイスの棒を陽の顔の前に突き出す。
「おばちゃんにもう一本アイス貰ってこようっと。」
あたしは、陽の部屋を出て階段を駆け降りる。
"当たり"と書かれたアイスの棒を握り締めながら。