海風~駆け抜けた青春~
「おばちゃん、アイスもう一本ください。」
「海波。」
足元を見ながら言ったあたしに掛けられた声は、おばちゃんのものではなかった。
顔を見なくたってわかってる。
だって、今のあたしをつくった原因だから。
「海咲ねぇ…何で島にいんの?」
今は東京にいるはずでしょ?
何で帰ってきてんの?
「お母さんから電話があったの。海波が毎日言う事聞かないって。」
意味わかんない。
「海咲ねぇは、それだけのことで帰ってきたの?大学は?何してんのよ。」
あたしは海咲ねぇを睨み付ける。
「だって…お母さん泣きながら言うんだもの。大学も夏休みに入ったから、帰郷も含めてね。」
あたしはもう一度睨む。