海風~駆け抜けた青春~
「海波。さっきも言っただろ、近所迷惑だって…」
陽が階段を降りて来る。
「陽君、こんばんは。いつも海波がお世話になってます。」
「…こんばんは。」
陽はまずいタイミングだったと直ぐさま感じとり、回れ右をして部屋へ戻ろうとする。
が、あたしはそれを遮るように、腕を掴む。
「海咲ねぇが心配する程のことじゃないから。お母さんが大袈裟すぎんの。」
あたしは、陽を引き止める手に力を入れる。
「お母さんは、毎日夜遅くに陽君の家にお邪魔してること、凄く気にしてた。」
「海咲ねぇには、あたしの気持ちなんかわかんないよ!」
あたしは思わず叫んでしまった。
「そうね。海波が、何を思って行動してるか、私にはわからない。でも、お母さんに心配掛けちゃ駄目でしょう?」
陽を引き止めていた手から力を抜く。