海風~駆け抜けた青春~
「海波さんは、陽君、大地君、美空さんと同じ島の出身なのよね。」
先生が、笑顔を向けたまま話し掛けてきた。
「うん。陽は生まれた時からで、大地と美空は三才くらいの時かな。それからずっと一緒。」
「海波!先生にそんな口の利き方するんじゃないの。」
「お母さん、私は構いませんよ。
四人共、とても仲が良いものね。先生、羨ましいわ。まさに青春よ。」
「先生だって、学生時代は青春してたんでしょ?」
あたしは、ニヤニヤしながら聞き返した。
「そうね、人並には。」
「あたし、今すっごい楽しい。今、この一瞬一瞬を大切にしたいって思ってるんだ。」
少し照れて俯く。
「良いことよ。
お母さんも、そう思いますよね?」
お母さんは黙り、あたしの開かれたままの成績表を見つめている。