海風~駆け抜けた青春~





屋上まで駆け上がり、ドアノブに手を掛ける。








「-!」







扉の向こうから声が聞こえた。




先客か…




あたしは扉を開けた。














「一方的に言われたって、あなたのこと知らないし。無理。」










「でも…俺、君のことずっと可愛いなって…」






「あなた、あたしの何を知ってるの?見かけだけで好きとか言わないで。
早く帰ったら?お出口はあちらです。」








彼はあたしの方へ向かって走って来る。




彼にとっての出口を塞いだ状態のあたしは、素早く横に掃けた。









出ていく時、彼は一瞬振り返り、俯いて走り去った。









あたしは歩き出す。








フェンスにもたれ、空を眺めている彼女に声を掛けた。









「相変わらず、酷い振り方。他になんかないわけ?
あれじゃ告った奴の立場ないじゃん、美空。」




< 36 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop