海風~駆け抜けた青春~
屋上まで駆け上がり、ドアノブに手を掛ける。
「-!」
扉の向こうから声が聞こえた。
先客か…
あたしは扉を開けた。
「一方的に言われたって、あなたのこと知らないし。無理。」
「でも…俺、君のことずっと可愛いなって…」
「あなた、あたしの何を知ってるの?見かけだけで好きとか言わないで。
早く帰ったら?お出口はあちらです。」
彼はあたしの方へ向かって走って来る。
彼にとっての出口を塞いだ状態のあたしは、素早く横に掃けた。
出ていく時、彼は一瞬振り返り、俯いて走り去った。
あたしは歩き出す。
フェンスにもたれ、空を眺めている彼女に声を掛けた。
「相変わらず、酷い振り方。他になんかないわけ?
あれじゃ告った奴の立場ないじゃん、美空。」