海風~駆け抜けた青春~
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「海波ー、陽君来たわよー。」
「ちょっと待ってて!浴衣の帯が…」
今日は夏祭り。
この島で一番力を入れる行事。
毎年、幼なじみ四人で行くのが恒例で、今年もそうだと思ってた。
でも、美空が体調を崩して行けなくなった。
今年はやめようって言ったら、凄い形相で睨まれ、鉄拳が飛んできそうだったから、三人で行くことになったのだ。
「ごめんっ…浴衣って年に一度しか着ないからどうも苦手で…」
階段を下りながら、帯を直す。
「陽、何固まってんの?そんなに変?」
陽はあたしを見て動きを止めている。
「…馬子にも衣装、か…」
「失礼なこと言わないで、よ!」
陽に体当たりをして玄関を出る。