海風~駆け抜けた青春~
「ほらっ早く!きっと大地が待ちくたびれてるよ!」
振り向くと陽は微笑み、あたしの後に続いた。
「今日は、りんご飴とかき氷、タコ焼きも食べて…」
あたしが指を折りながら言うと、陽は笑った。
「お前、食い過ぎ。やっぱ海波は色気より食い気だな。」
「失礼だなぁ。あたし色気むんむんじゃん。今日とかうなじやばいでしょ?」
首筋にそっと手を添える。
髪は、浴衣のためのアレンジを施してあった。
「…まぁ、今日はそれなりに。」
陽が目を逸らす。
「あぁ~。あたしに惚れちゃったかにゃ?」
「バーカ。コメントに困ってんだよ。」
上目使いをすると、デコピンをくらった。
「痛っ…陽は、あたしの本気を知らないからね。彼氏の前だと凄いんだから。」
おでこを摩り、頬を膨らませる。
「彼氏いた時ないじゃん。」
「うっ…」
痛いとこ突かれた。