海風~駆け抜けた青春~
「りんご飴ってさ、キラキラしてて宝石みたいだよね…小さい時、いつも思ってた。」
陽が買ってくれたりんご飴を見て、昔の自分を思い出した。
「何?可愛いこと言っちゃって。」
「だってさ、綺麗だと思うでしょ?」
「乙女みたいなこと言うな。海波じゃねー。」
「…そうかな?」
飴でコーティングされたりんごが、屋台の明かりに照らされ、キラキラと輝く。
「そろそろ花火が上がるんじゃねぇか?早く行かねーと、場所なくなるぞ。」
陽が、河原の方を指差す。
「そんな急がなくても、何もないからどこでも見れるよ。」
「ここからじゃ、木が邪魔で見えないけどな。」
歩き出す陽と大地を後ろから見て、笑顔がこぼれた。