海風~駆け抜けた青春~
「待ってよー!」
遠ざかる二人に追い付こうとする。
-コロンッ
手からりんご飴が滑り落ちた。
地面にたたき付けられ、飴は砕けてしまった。
「あぁあ…もったいない…」
それを拾おうとしたその時、携帯電話が鳴った。
誰だろ。
ディスプレイを確認する。
それは、美空からの着信を伝えている。
「…美空?何だろう?」
通話ボタンを押す。
あたしの耳に届いたのは、いつも聞き慣れている声ではなかった。