海風~駆け抜けた青春~
「おじちゃん!船出して!」
「海波ちゃん、こんな時間にどうしたんだい?」
港まで駆けたあたしは、おじちゃんの家に飛び込んだ。
「本島に連れてって!美空がっ…」
「少し落ち着きなさい。
何だかよくわからんが、よし、船を出そう。港で待ってなさい。」
おじちゃんが裏へ回ったのを確認し、あたしも急いで外へ出る。
「海波…」
そこに、後を追って来た陽と大地が立っていた。
熱を帯びた頬に一粒の涙が零れ落ちた。
「俺の携帯にも電話掛かってきた。」
二人の顔を見たまま、ただぽろぽろと波が落ちる。