海風~駆け抜けた青春~
「美空…死んじゃうかも…」
「何馬鹿なこと言ってんだ。今美空は頑張ってんだぞ。」
「そうだよ…らしくねぇじゃん。」
あたしは俯く。
「俺達が信じなくてどーすんだよ。信じて、笑顔で会ってやんだよ。」
陽があたしの頭を撫でる。
そうだった。死んじゃうなんて考えてたら、また美空に怒られる。
信じて待とう。
顔を上げ、涙を拭う。
「泣いてたら、美空の鉄拳が飛んでくるね。」
「あいつ、心配されるの大嫌いだもんな。」
「会う前に顔洗っとけよ。目、赤いぜ。」
「大地だって、涙目じゃん。」
「…これは、あれだあれ、潮風が目に滲みるってやつ。」
袖で目を拭く大地に、陽とあたしは笑顔をこぼした。
船に乗って、本島へと向かう。
祭の賑わいと花火の明かりが、暗い海を照らす。