海風~駆け抜けた青春~
美空は同情や心配を拒む。
心臓に病気を抱え、幼い頃から回りからの同情という苦痛に耐えていた。
「同情のまなざしとか言葉って、その人より幸せだって思った時発するんだよ。
かわいそうとか言うけど、本当にその人が不幸かなんて、その人しかわかんないじゃん。」
昔、美空が言った。
かわいそうって言葉は、相手のことを思っているようで、本当は傷付けている。
だけど人は、それに気付かないで、自分がその立場になって初めて知る。
「本当、皮肉だね。」
そう言った美空の横顔は、窓から差し込む光で白く光っていた。