―you―
7 考えれば考える程泥沼に、考えなければまっ逆さま
全部話してくれたあなた、私はどうすればいいんだろう。許す?認める?諦める?
そもそも、私があなたに声を掛けようとしたのは、あなたが結婚について悩んでいて浮かない顔をしていたから。私があなたに向かわなければ、あなたを知ることも、好きになることもなかった。
あなたと奈緒さんは、やっぱりお似合いだと思う。奈緒さんに赤ちゃんができたことにも、おめでとうと言いたい。
そうか。
私は嫌われるのが嫌いなんだ。嫌われたくないから、あなたが好きだし、奈緒さんを嫌いたくない、嫌いになれない。
「優」
「…寺田さん」
今度の演目で、寺田さんが私のパートナーとなる。
「元気ないんじゃないのか?せっかく、デカい役できるのに」
小さなレッスン室、私は鏡越しに寺田さんと話している。ペットボトルを握る。体が震えていた。
「優?」
私はペットボトルを投げ出して、ピアノに突っ伏した。ガン、と不協和音が鳴る。打ち付けられた腕が痛い。何故か涙が出た。あなたから話を聞いた後も、一人でいる時も涙なんか出なかったのに。
「優」
幅の広いピアノの椅子、隣に寺田さんが座った。私の肩に手を置く。
「どうした」
言うはずかない。泣き声が大きくなる。
そもそも、私があなたに声を掛けようとしたのは、あなたが結婚について悩んでいて浮かない顔をしていたから。私があなたに向かわなければ、あなたを知ることも、好きになることもなかった。
あなたと奈緒さんは、やっぱりお似合いだと思う。奈緒さんに赤ちゃんができたことにも、おめでとうと言いたい。
そうか。
私は嫌われるのが嫌いなんだ。嫌われたくないから、あなたが好きだし、奈緒さんを嫌いたくない、嫌いになれない。
「優」
「…寺田さん」
今度の演目で、寺田さんが私のパートナーとなる。
「元気ないんじゃないのか?せっかく、デカい役できるのに」
小さなレッスン室、私は鏡越しに寺田さんと話している。ペットボトルを握る。体が震えていた。
「優?」
私はペットボトルを投げ出して、ピアノに突っ伏した。ガン、と不協和音が鳴る。打ち付けられた腕が痛い。何故か涙が出た。あなたから話を聞いた後も、一人でいる時も涙なんか出なかったのに。
「優」
幅の広いピアノの椅子、隣に寺田さんが座った。私の肩に手を置く。
「どうした」
言うはずかない。泣き声が大きくなる。