―you―
10 真実を知ろうとするのはそんなに悪いこと?+後書き
『真実を知ろうとするのはそんなに悪いこと?』
『悪い事じゃない。でも、本当の事を知ったら、君は俺を嫌いになる』
『どうして?私は全部知りたいの、貴方のことを…私、初めてこんなに一人の人を愛したわ。だから知りたいの、本当の貴方を』
『この作品から、天野優の天性が溢れてきたように思いませんか』
『そうですね…何かこう、一つの壁を越えたような』
ユウ・アマノの名前を知らない人はいない。実際を見たことが無くても、誰でもその名前を一度は耳にしているだろう。その演劇のセンスが認められ、あの劇団から、他の舞台にも度々登場し、映画、テレビドラマと活躍の場を広げ、この春に公開されたハリウッド映画にもキーパーソンとして出演した。もう半袖から長袖に替わる季節だが、その映画を上映している映画館は少なくない。
私は新聞を広げてコーヒーを飲む。娘が背中に飛びついて来て、咽せた。あと、少しコーヒーが零れた。
「こら」
「ママがよんでるよ」
「何て?」
はやくー、と娘がシャツを引っ張る。私は立ち上がり、広げたばかりの新聞を畳んだ。
奈緒は隣の部屋でテレビを見ていた。私を見て、それからテレビを指差す。
『悪い事じゃない。でも、本当の事を知ったら、君は俺を嫌いになる』
『どうして?私は全部知りたいの、貴方のことを…私、初めてこんなに一人の人を愛したわ。だから知りたいの、本当の貴方を』
『この作品から、天野優の天性が溢れてきたように思いませんか』
『そうですね…何かこう、一つの壁を越えたような』
ユウ・アマノの名前を知らない人はいない。実際を見たことが無くても、誰でもその名前を一度は耳にしているだろう。その演劇のセンスが認められ、あの劇団から、他の舞台にも度々登場し、映画、テレビドラマと活躍の場を広げ、この春に公開されたハリウッド映画にもキーパーソンとして出演した。もう半袖から長袖に替わる季節だが、その映画を上映している映画館は少なくない。
私は新聞を広げてコーヒーを飲む。娘が背中に飛びついて来て、咽せた。あと、少しコーヒーが零れた。
「こら」
「ママがよんでるよ」
「何て?」
はやくー、と娘がシャツを引っ張る。私は立ち上がり、広げたばかりの新聞を畳んだ。
奈緒は隣の部屋でテレビを見ていた。私を見て、それからテレビを指差す。