蓮の苦悩
病院に着いたのが
夜9時を少し回っていた


朝比奈のお母さんに聞いた
部屋にノックをして入ると
部屋は空っぽだった


は?


部屋間違えたか?
中の様子を丹念に見ると
ベットには


「田崎 麗奈 様」


と書かれていた


間違いない
俺は気になって鞄を置き
ナースステーションに向かった


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「あの 田崎と申しますが
家内は今どこにいますか?」


中で書類に目を通していた
看護婦さんがパッと顔を上げ


「田崎さんのご家族の
方ですか?」


「はい。主人です」


「今、奥さん分娩室に…
こちらにどうぞ」


俺は

いっきに緊張した







新生児室の前で
少し待たされる
普段俺が身を置く現場とは
全く違う優しく
幸せに満ちた空間が
そこにはあった
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