蓮の苦悩

俺は腰にタオルを巻いて
浴室のドアの前に立って麗奈を待つ

しばらくすると
麗奈が後ろからそっと
俺の手を握ってきた

振り向くと赤い顔をした
麗奈が俺を下から見上げ
言葉を何も発しないで
ギュッと手を強く握った

可愛い

俺ちゃんと言えるかな
既に胸がいっぱいだ


麗奈の準備が整ったので
ドアを開けた


床は板張り
総ひのきの素晴らしい露天風呂

お湯がコンコンと湧いて
湖の音とお湯の流れる音が
静かに響く

空は満天の星
思わず立ち止まり感動していた

"綺麗だな 連れてきて良かった"

身体にお湯をかけ
湯舟に浸かる


麗奈が後から入ってきたが
恥ずかしがって
少し離れた位置に座る

お湯は少し色がついている
程度で麗奈の白い足が見える

ヤバいな

"麗奈もっと近くにおいで"
ちょっと強引だけど
麗奈の手をつかみ
俺のすぐ横に座らせた

よし


……………
……

"今日は疲れたか?"

"私より運転していた田崎さんの方が
大変だったでしょ?"

"麗奈俺の家族にびびったよな〜
あんなに勢揃いじゃ
緊張するよな"

"でも皆優しくて嬉しかったよ"

"また旅行しような"
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