イケオタ
「なぁ〜友里恵」

翔に声を掛けられた友里恵はビクンッと体を震わせた

「な、何よ!?
急に声掛けないでよ!!」

逆ギレぎみな友里恵に翔はごめんごめんと謝りながら話を始めた

「友里恵さぁ、何で怒ってんの?」

「は、えっ、そ、それは・・・」

「それは?」

「あ、あの二人がお店の中で走り回るから、その、お店の人に・・・迷惑だと・・・思って・・・」

それもあるのかもしれないが明らかに後半のトーンが下がっていた友里恵は自分の気持ちに嘘をついていた

翔は確信を持ってそう思った

「そっか、ならあの二人追い掛けてくれば?」

「なっ!?
なんで私が。それにお店の人に迷惑だから・・・」

「だからだよ」

「へっ!?」

「店に迷惑かけるから委員長のお前が取っ捕まえねぇとな」

「い、嫌よ!!
あなたが捕まえればいいじゃない」

「俺が行ったら捕まえる数が増えるぞ!!」

「うっ!!」

「だからさ、友里恵が行ってやれよ。店の人には俺が謝っといてやるから、なっ。」

少し考えるそぶりをしたあと友里恵は少し顔を赤くしながら翔の方へ向き直った
「し、しかたないから私が行ってあげるわ!!
あなたが行くと心配だからね。ホンッッットに心配だからよ
私は仕方なく・・・」

「わかっております
さぁお嬢様いってらっしゃいませ」

執事服を着たままの翔は背筋を伸ばしいつもの雰囲気とはまったく違っていた

「・・・あなた執事には向いてないわね」

そう言うと友里恵は走り去った

残された翔は深く掘られた心の傷を顔にださないようにお店の人にあやまるのであった・・・
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