甘酸っぱい彼
「はあ・・・はあ・・・。」
あたしは肩で息をする。苦しかった・・・。
「・・・ごめん。」
健斗はあたしとキス出来るくらいの距離で囁いた。
「・・・うん。」
しばらくの間そのままの体勢で沈黙が続いた。しばらくして沈黙を破ったのは意外にも健斗だった。
「今の・・・遊びとかじゃないから・・・。」
「・・・えっ?」
予想もしなかった言葉にあたしは驚いた。
「お前と・・・百季とキスしたかったからキスした。・・・迷惑だったろうけど・・・。」
「・・・迷惑なんかじゃ・・・ないよ。」
無意識に言ってしまったことに後悔した。健斗はそれを聞いて目を輝かす。

し・・・しまった・・・!

「迷惑じゃないって?」
「いや、その・・・。びっくりしたけど・・・、すぐ止めてくれたし・・・。 あっ、でも、もう・・・いきなりは・・・止めて?」
自分で何を言ってるかわかんなくなった。どうしよっ・・・。
「とっ!・・・とにかく、ご飯作ってくるね。」
あたしはそう言うと携帯を持ってキッチンに向かった。

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