甘酸っぱい彼

嫌な予感の始まり

[修ver]
俺はうかない気分で朝を迎えた。あんな奴に会ったら誰だっていい気分にはなんねーだろ。飯を食っているといきなり母親に話しかけられた。
「ねぇ、修。あんた彼女いないの? いるんだったら連れて来なさいよ?」
「いねぇーよ。・・・しかも俺の高校、男子校だから。」
俺はそう言うと味噌汁を飲み込む。相変わらず母ちゃんの味噌汁は美味い。そう思っていると、母親はまた話し始めた。
「美衣奈ちゃんはどうしたのよ? まだ上手く行ってるんじゃなかったの?」

ぶーーーっ!?

俺は『美衣奈』という名を聞いて味噌汁を吹き出した。
「ちょっと、修! ・・・たく、朝から仕事増やさないでちょうだい。」
母親はそう言うと台布巾を持って隣に来た。
「あんな奴・・・、とっくのとうに別れたよ・・・。」
俺は吐き気に耐えながら言った。朝から俺はついてない。・・・つーか、最近ずっとだよな。百季のキスしてるとこ、見ちまったし・・・。
「いってきます。」
「もう行くのっ!?」
「一応出る時間だし。電車に遅れるのはめんどいから。」
俺はそう言うと家を出て行った。


駅に着くと売店でパンを買った。朝、あんま食えなかったし。電車が来たので俺は四号車目に乗った。席に座ろうとキョロキョロしていると百季がこっちに気づいて近づいて来ようとした。俺はそれを見てすぐに三号車目に乗り換えた。


しばらく電車に揺られててウトウトしていると、電車のドアが開いた。学校までは後、一駅だ。パンを最後の一口食べようと口を近づけると目の前に人影が現れた。そして俺は、顔を上げた瞬間吐き気に襲われた。
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